本棚探偵の冒険





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愛書家を誘惑する造本に注目

内容は軽目の古書マニアものだが、このジャンルは小難しい本が多いのでこういった読みやすいものがあるのは却って有難い。
この本の価値は造本にある。
そう、話題が古書だけに、古書マニアをときめかせるギミックが一杯につめこまれているのだ。

古書マニアにとって大切なこと・・・それはその本が函・帯・月報が揃った「完本」であるかどうかだ。本書ではその「気になるポイント」に不必要なまでに力が込められている。
函と帯は古き良き時代のミステリー小説を意識したレトロなデザイン。

さらに月報は出版社の正規のものではなく、この本のためにわざわざ作られたこれまたレトロ調のフェイクで、著者のコレクションの表紙がズラリと並んでいる。
これらは美大出身の漫画家であり、ミステリーマニアでもある著者が自ら題字・装画・装丁原案を手がたものだ。
聞くところによれば、製本段階で予期せぬ事態が起き、結果的に著者検印にカバーのついたバージョンも少数出回ったという。
そういったつまらない差異に躍起になるのはマニアの悪癖である。だが、本書はそれを自覚した上であえてマニア心をくすぐることをやっている。まるで我々を嘲笑するかの様に。

愛書家はこの洒落っ気にくすりと笑い、それでもこの本を蔵書する悦びを手に入れたいと願わずにはいられない。
本書はたちの悪い悪女の様なものだ。それが媚態だということが解っていてなお、その魅力に勝てないのである。
本好きなら共感できます

古書の世界がこんなにも深く、そして恐ろしいものとは思いませんでした。でも、この本を読めば、その恐ろしい世界をもっと知ってみたくなることでしょう。



双葉社





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