名翻訳者の名文で綴った幻の傑作!
ご存じ松田優作演じる工藤俊作の活躍するTVドラマ『探偵物語』の原案となる小説作品。作者の小鷹信光氏は数々の名翻訳で知られるハードボイルド作品翻訳家であると認識していたのだが、翻訳家が直接小説を書いてしまう例っていうのは珍しいのではないだろうか? 東江一紀とか村上春樹などは翻訳はやるけれど、どちらかと言えば作家が本業でしょう。小鷹さんといえばやはりあまりにハードボイルドの数々の名作の翻訳者という職業で知られている(有名になっている)気がしてしまうのだ。 だからこの本を手に取ったときに、なんてまあ小説の上手い人なんだとぼくは驚いてしまった。とにかく文体がいいし、突っ張った探偵が格好いいし、卑しき街の描写もいい。なんともはや大人の作品であり、リチャード・スタークあたりを思い起こさせる乗りの良さでもある。ハードボイルドの本質を知っている人でなければ表現できない味わいのようなものが、深く深く入り込んでいる、まさに作者の愛情のこもった一冊である。勿論ヒーローは松田優作そのままで想像しつつ読めてしまうところが便利このうえない。長い間、読めなかった幻の名作だけにファン垂涎の一冊!
幻冬舎
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